こんにちは。
大阪府堺市の行政書士の中村です。
ご訪問いただきまして、ありがとうございます。

弊事務所への離婚に関するご相談の中で意外と多いものの中に、「離婚協議書は必ず作らないといけないのですか?」というものがあります。

結論からいいますと、必ず作成しなければいけないわけではありません
離婚協議書を作成しなくても、離婚することは可能です。
協議離婚であれば、離婚届を役所に提出すれば成立します。

だからといって、作らなくてもよいかといえば、離婚時に取決め事項がある場合には、その証拠として離婚協議書を作成しておくべきです。

約束というのは、どこかの時点で何らかの事情により破られたり、後から変更を求められたりすることが
多々あるからです。

そのときに、「あのとき、このように約束したでしょ!」というものがなければ、「そんな約束をした覚えはない!」などといわれてその約束は簡単に破られてしまいます。

上記の質問と併せて多いものに、「離婚協議書は必ず公正証書にしないといけないのですか?」というご相談もあります。

これも、回答としては、必ずしも作成しなければいけないわけではありません ということになります。

養育費の支払いなど、長期に渡る金銭の支払いがある場合には、公正証書にしておくべきでしょうし、金銭の支払いがあっても少額の場合や金銭の支払いが発生しない場合は、公正証書にまでする必要はありません。

上記のご質問のような誤解は、私も含めて専門家のWEBサイトの内容に原因があるものと思います。

弊事務所へのご相談はWEBサイト経由のものが多いため、仕方がなのかもしれませんが、弊事務所に辿りつくまでの間に、いくつもの行政書士さんのサイトを閲覧されています。

そこには、「離婚の際には、必ず離婚協議書(公正証書)を作っておきましょう。」といった文言が並べられています。

どのサイトを見ても、そのような文言が記載されていますので、一般の方々が最初の質問のような誤解を抱くのも無理のないことかもしれません。

これは、弊事務所のサイトにも言えることかもしれませんので、誤解を与えないよう注意しなければなりません。

さらに、「離婚協議書(公正証書)の作成は行政書士に頼まなければいけないのですか?」というご質問もけっこうあります。

このような誤認も、グーグル等で離婚協議書関連のサイトを検索すると、多くの行政書士さんのサイトがヒットすることからくるものと思いますが、当然、ご本人が作成してもかまいません。
(公正証書については、公証人が作成します)

同じ内容の文書であれば、本人が作成しても、行政書士が作成しても効力はまったく変わりません。

行政書士が関与しなければ、効力がないものではないからです。

ただ、離婚協議書を当事者のみで作成する場合には、民法等の法律知識や離婚や契約に関する周辺知識がなければ、作成するのは、なかなか難しいかもしれません。

ネット上にあるひな形を参考に作成することはできます。
しかし、このひな形は、個別事情を考慮したものではありませんので、ご自身のケースにあったものであるのかを判断し、カスタマイズしていく能力が必要となります。

それでも、ひな形を参考に作成した離婚協議書で契約して、その後もきちんと約束が守られているのであれば特に問題はありません。
契約書がなくても、相手方が約束事を守るような人柄の方なら、そのような方法で作成した離婚協議書でもよいのかもしれません。

しかし、問題となるのは約束が反故にされたときです。
そのときに、離婚協議書の中身が個別事情を考慮して、契約違反があったときに機能するものでなければ、
離婚協議書を作成する意味がないのです。

このようなことを考えると、少々のお金を払ってでも行政書士などの契約の専門家に書面を作成してもらうことはひとつの選択肢になると思います。