こんにちは、
大阪府堺市の行政書士の中村です。
ご訪問いただきまして、ありがとうございます。
とあるところからのご紹介で、農地の賃貸借契約の合意解約のお手続きをさせて頂くことになりました。
賃貸借契約となっていますが、昔でいうところの小作権です。
つまり、地主さんから農地を借りて、そこの土地を耕作する権利のことをいいます。
小作権は、農業委員会の農地台帳により管理されています。
この小作権は相続することができるのですが、最初の権利者名のまま相続手続きが行われずに、そのままになっているケースがほとんどです。
そして、今現在は、その農地を耕作する方はいないにもかかわらず、小作権が抹消されずにそのまま放置されていることも多い。
厄介なのは、地主さんがこの農地を売ろうとした時に、小作権が付いたままでは売ることができないのです。
そこで、この小作権の記載を農地台帳から抹消する手続きが今回の手続きとなります。
本来、農地の賃貸借契約を解除する場合には、農地法第18条1項に基づき、都道府県知事(又は農業委員会)の許可を受けなくてはなりません。
この許可を受けないでした解除や解約は無効となります。
しかし、第18条1項但し書きに記載されているケースの場合には、例外として、許可を受けなくても解約ができるとしています。
賃貸人と賃借人が合意の上で賃貸借契約を終了させることも、農地の返還期限前6ヵ月以内に成立した合意であって、
しかも合意内容が書面で明らかになっている場合には、知事の許可を要しないとされています(第18条1項2号)。
そして、農地の賃貸借契約の合意解約をした場合には、農地法第18条6項の規定により、農業委員会に対して通知をしなくてはなりません。
この手続きは、農業委員会に対する手続ですので、行政書士が代行することができます。
借主様の承諾が頂ける場合、それほど難しい手続きではありません。
しかし、相続が発生している場合には、手続きが複雑になります。
なんせ、何代も前の方が小作権者となっていることが多いため相続人を確定させて、その相続人全員の同意をもらうだけでも大変だからです。
農地の賃貸借契約の合意解約による届出に必要な書類は次のとおりとなります。
※阪南市の場合。各市町村の農業委員会により多少必要書類は異なりますので、 事前にご確認ください。
①農地法第18条第6項の規定による通知書
②農地賃貸借解約合意書
③該当の農地の登記事項証明書
④貸主及び借主の印鑑証明書
⑤解約地の位置図(公図及び住宅地図)
(相続が発生している場合)
⑥相続関係を証明する書類(被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等)
⑦相続人関係説明図
この手続きは、どちらかというと地主側が積極的に行わなくてはならない手続きですので、手続きを怠っていると、小作権者側の相続人の数が多くなってしまい、手続きがなかなか進められないということにもなりかねません。
特に、相続人に高齢が多くなってしまうと、更に、困難となってしまいますので、早めに手続きをするようにして下さい。
農地関係のお手続きで、ご不明な点がありましたら弊事務所にご相談ください。