こんにちは、
大阪府堺市の行政書士の中村です。
ご訪問いただきまして、ありがとうございます。
会社の設立にあたっては、原子定款というものを作成しますが、その際に取締役の任期を定めることができます。
平成18年の会社法施行前は、取締役の任期は最長2年、監査役の任期は最長4年とされていました。
つまり、選任されてから2回目の定時株主総会において再任されなければ、任期満了により退任となります。
しかし、会社法施行後は、譲渡制限株式会社の場合には、定款の規定によって最長10年まで延長することができるようになりました。
定款で特に取締役の任期を定めない場合、会社法の規定により、取締役の任期は原則として、選任後2年以内の最終事業年度に関する定時株主総会の終結のときまでとなります。
この場合、同じ方が取締役を継続する場合であっても、重任の登記をする必要があります。
この登記は、登記事項が発生してから2週間以内に行う必要がありますが、これに違反すると、100万円以下の過料に処せられる場合があります。
また、登記の際に専門家への報酬や登録免許税などの費用がかります。
そうなると、取締役の任期を単純に10年にしておく方が事務処理の手間や登記の費用負担を軽くすることができる分、メリットが大きいように思えますが、必ずしも、そうとはいえません。
取締役の任期の決め方
上記のように、取締役の任期を10年にするとよいように思いますが、10年という期間は相当に長い期間です。
その間に取締役を解任しなければならない事態が生じるかもしれません。
取締役の解任自体は、定款に特別に規定がなければ、株主総会の普通決議で行うことができます。
しかし、解任に正当な事由がなければ、任期満了までの役員報酬の支払い義務が生じる可能性があります。
社長が出資してご自身が取締役となるケースや取締役がご家族だけのケースであれば、役員の変更はそれほど考えられす、10年でもよいかもしれません。
ただし、奥様を取締役にする場合には、少し注意する必要があります。
万一、離婚となってしまい、取締役である奥様を解任した場合、任期満了の役員報酬を支払わなければならない可能性があるからです。
たいていのケースでは、「辞任」という形で取締役を抜けてもらうことがほとんどだとは思いますが、会社法のことをよくご存じで、離婚の条件次第では、役員報酬を請求されるということも十分考えられます。
弊事務所で設立されるお客様は、取締役として奥様を入れられるケースが多いのですが、「誠に失礼とは思うのですが…」と前置きした上で、このようなことが起こる可能性があります、とお伝えさせて頂いています。
その上で、10年とされるケースが多いです。
そして、親族以外の第三者を取締役に入れる場合には、十分に注意する必要があります。
はじめこそは、理念やビジョンを共有できていると思っていても、会社を運営していく過程において、価値観や性格の相違、意見の衝突などによって、どうしても、うまくいかなくなってしまうケースも中にはあるからです。
このような場合であっても、解任となると正当な理由がなければ、任期満了までの役員報酬の請求が認められる可能性があります。
よって、取締役の任期を2年~5年程度の期間に定めて、任期満了による退任となるようにすることが考えられます。
まだまだ、検討すべき事項はありますが、取締役の任期については、安易に10年にするのではなく、
これらのことを踏まえて、定めるようにしてください。
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