こんにちは。
大阪府堺市の行政書士の中村です。
ご訪問いただきまして、ありがとうございます。

日本政府の外国人観光客誘致政策もあって、中国人の方をはじめどこに行っても外国人の方を多く見かけるようになりました。

そのため、これまで日本人を相手にビジネスをされていたホテル旅館なども日本に来られる外国人の方への対応を考えなくてはならなくなってきています。

その結果、外国人を雇用したいというホテルや旅館業の人事担当者様からのお問い合わせがけっこうあります。

外国人の「在留資格」に関する知識がなく、外国人を採用したものの不許可となってしまったため、あわててご相談頂くケースが非常に多いです。

ホテルや旅館業で外国人を雇用するにあたっては、注意しなければならない点があります。

というのも、外国人がお客様としてきた場合にだけその外国人従業員に対応させて、それ以外の時間については一般の従業員と同じような作業(例えば、客室案内係やベッドメイキングなど)をさせるということでは、就労ビザを取得することはできないからです。

日本の就労ビザは基本的には単純労働では認められていません。
※平成31年4月1日からは「特定技能」に該当する仕事については5年を限度に認められることになっています。

ホテル業界の方からすると、「ホテルの従業員の仕事は単純労働ではない!」とお怒りになるかもしれません。

しかし、ホテル・旅館業で就労ビザが認められるのは、外国人が多く利用されるホテルや旅館のフロント業務など、一部業務に限られるのです。

ちなみに、ホテル・旅館業が外国人を採用する際に取得する在留資格は、「技術・人文知識・国際業務」となります。

ホテル・旅館業で就労ビザが「許可」される事例

外国人が多く利用するホテルでの外国語を用いたフロント業務

外国人観光客が多く利用する旅館での通訳・翻訳業務

経済学を専攻して大学を卒業した方が、空港に隣接するホテルでの外国人を対象にした集客拡大のためマーケティング・リサーチ業務

経営学を専攻して大学を卒業した方が、外国人が多く利用するホテルでの外国語を用いたフロント業務外国人観光客からの要望対応宿泊プランの企画立案業務

ホテル・旅館業で就労ビザが「不許可」とされる事例

経済学を専攻した方がホテルに採用されたが、主たる業務が宿泊客の荷物の運搬及び清掃業務であり、在留資格に該当しないものとして不許可

日本語を専攻して大学を卒業した方が、旅館に採用されて外国人宿泊客の通訳業務を行うとして申請したが、当該旅館の大半が使用する言語は申請人の母国語と異なっていて、母国語を用いて行う業務に十分な業務量があるとは認められないとして不許可

日本人従業員と同等以上の報酬を得ておらず、額が異なることに合理的な理由もないため不許可

商学を専攻して大学を卒業した方が、新規に設立されたホテルに採用されたが、業務内容が駐車誘導レストランにおける料理の配膳・片付けであったことから在留資格に該当しないとして不許可

ホテル・旅館業で就労ビザが許可されるためのポイント

〇ホテル・旅館の規模がどの程度か
規模が小さければ採用できないということではありませんが、規模が大きい方が「信頼性がある」という点で審査がスムーズに進みます。

〇外国人の利用者数の多さ
通訳・翻訳業務の場合は、通訳・翻訳業務がどの程度発生するのかが重要となります。
ホテル・旅館への来客のうち、1日にどの程度の外国人が利用するのかなどを詳細に説明しなければなりません。

〇学歴と業務内容がマッチしているか
通訳・翻訳以外の業務での採用の場合は、学歴と業務内容が一致している必要があります。
また、通訳・翻訳業務でも母国語以外の言語の通訳をする場合には、その言語の習得状況について詳細に説明しなければなりません。

〇日本人と同程度以上の報酬が受けること
外国人だからといって低賃金で働かせられるわけではありません。
採用事業所に勤める日本人と同程度以上の報酬を支払わなければなりません。

〇単純労働とみなされない
就労ビザを取得して在留する外国人については、単純労働(部屋の清掃、客室案内、調理補助など)することは原則として認められていません

就労の実態が単純労働を主にすると認められる場合には、就労ビザを取得することはできません。
但し、研修の一環であるなど一次的に当該業務をする場合には、認められる場合もあります。
(申請時にそのことを十分に説明する必要があります。)

平成27年12月に入国管理局が公表した次の資料もご参照ください。
  ≫ ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について
(法務省入国管理局)
泉佐野市においてもかなり外国人観光客が増えてきており、外国人を採用したいという事業者様も増えております。

しかし、「外国人が日本で就労する」ということには、かなりのハードルがあり安易に申請することはお勧めいたしません。

ですので、まずは一度、行政書士にご相談いただければと思います。